6月7日(土)2025年度・第1回授業「テーマは、『防災』」
6月7日、国立第三小学校で、2025年度・第1回となる「子ども大学くにたち」の授業を行いました。今回の授業では、「防災」をテーマに3名の方にご講演いただきました。

吉本 充宏先生「富士山は噴火するの?噴火したらどうなるの?」
噴火という言葉の意味や噴火の種類、活火山の説明から、吉本先生の授業がはじまりました。「活火山がいちばん多い県はどこだと思いますか?」と吉本先生が投げかけた質問に「大阪!」「鹿児島!」など、学生(子ども大学では参加する子どもたちを「学生」と呼びます)が口々に答えていました。「第1位 東京」の文字がスクリーンにうつると、学生たちからは「えーっ!」と驚きの声が。

活火山がいちばん多い国についてもご紹介いただいたあと、吉本先生の授業の本題である富士山の話にうつっていきます。過去の富士山噴火のデータを見せながら、富士山の噴火に周期はなく、噴火の予想はできないことなどをわかりやすく説明してくださいました。
また、富士山が噴火すると何が起こるのか、どんなところに影響するのかについてもお話ししてくださいました。東京都内には溶岩や大きな噴石は届かない一方で、火山灰の影響を強く受けるそうです。今回、吉本先生は、300年前に富士山が噴火したときの火山灰を持ってきてくださっていました。火山灰を触ったことがない子どもたちは、興味しんしん。

火山灰とふつうの「灰」のちがい、火山灰が道路や電力に影響を与えることについてふれると、学生は真剣な表情で授業を聞いていました。
おわりに、「知っておくということが災害から自分を守るということ」と、学ぶことの大切さを確認して、吉本先生の授業が終わりました。

緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE) 中村 毅寿さん(本住さん、齋藤さん)「自然災害発生!いち早く現場にかけつけるのは?」
国土交通省の緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)。自然災害が発生した際、すぐに現場にかけつけます。現場に到着すると、ヘリコプターやドローンを使った撮影を行います。被災の範囲や程度をすばやく確認するには、上空からの映像が非常に役立つそうです。実際に被災現場で上空から撮影したドローンからの映像を見せてくださいました。学生はクリアな映像にびっくりしたようすです。

災害発生時に使う機械には、ヘリコプターやドローンの他にどんなものがあるのかについても、ご説明くださいました。夜間作業ができるように約100メートル先まで明るく照らす照明車など、目的に合わせて多くの種類があることがわかりました。
そしていよいよ、ドローンの実演です。ドローンを操作するのは、TEC-FORCEの齋藤さん。「国立第三小学校で被害発生!これから被災状況を調査します!ドローン、離陸します!」という齋藤さんの大きな声とともに、ドローンが浮かびあがりました。頭上に浮かぶドローンに、会場内の学生たちは目が離せません。


被災現場でドローンを動かす際には、操縦する人、向きを確認して指示する人、そのまわりをしっかり見て安全確認をする人とで、三人一組で行動するそうです。また、国土交通省関東地方整備局にいる約4000人の職員のうち、災害の現場で飛ばせる技能をもっているのはまだ20人ぐらいだそう。
災害時に重要な役割を果たす、TEC-FORCEについて多くのことをお話いただきました。
市野 蒼さん「子ども防災士が考えたこと」
今日の授業の最後に、小学1年生のとき、史上最年少で防災士の資格をとった小学3年生市野蒼さんが登場。吉本先生、TEC-FORCEから本住さん、子ども大学くにたち理事長稲葉茂勝、今回のイベントを共催でおこなわせていただいた国立市の濵﨑市長も参加いただき、トークセッション形式でおこないました。
進行の稲葉理事長が、まず、市野さんが防災士になろうと思ったきっかけを聞きました。市野さんは、「東京都の池袋防災館に行って、2011年におきた東日本大震災のビデオを見て、岩手県釜石市の中学校の生徒たちが地震がおきたときに、先生になにも言われなくても行動して避難して多くの人たちの命が助かったという話を聞いて、ぼくもそんなふうになれたらいいなと思って、防災士の資格をとろうと思いました」と、堂々とコメント。会場からは自然と拍手がおこりました。吉本先生からは、「防災士の教科書はすごくたくさんの情報が入っているのに、一年生のときに勉強をした、というのがすごいなと思います。」との感想。

つぎに、市野さんは、本物の「非常持ち出し袋」と、その中身をわかりやすく説明するためにダンボールなどで自作したカバンを手に、災害用に用意するものの注意点を説明してくれました。「例えば食料品や水は、避難所にもあるのですが、個数に限りもありますし、アレルギーがあると食べられないこともあります。個人に合うものを準備していたほうがいいかなと思います」

最後は、質問タイムです。会場で配布された吉本先生からのパンフレットに書かれた「融雪型火山泥流」についての質問や「地震がおきたときに、国立市ではどういう放送がながれますか?」など、学生からの質問が飛びました。大人席で聴講していた国立市の防災課の方が急きょ回答してくださる場面も。防災について学ぼうとする意識が高まったことを感じられる授業となりました。

なお、今回の会場では、NPOフードバンクくにたちさんのご協力による備蓄水の配布や、ボーイスカウト国立第2団さんのご協力によるテント体験コーナー設置なども好評でした。会場をご提供くださった国立第三小学校ほか、皆様のご協力をいただき、無事終了することができました。ありがとうございます。
次回も多くの方のご参加をお待ちしております